AI導入の内製・外注費用を比較する|社内工数まで含めた見積もり方

デスクで2枚の見積書を見比べながら電卓とノートPCで費用を確認する手元
                                                   

AI導入の費用は、内製案・外注案のどちらにも「見積書に載らない社内の時間」が乗ります。相場の数字ではなく、初期・継続の外部支出と社内工数の4つの費目×2案で総費用を計算します。確認基準の明文化は手戻りを減らす要因の一つですが、決め手は総費用です。当社にも時間の記録が無かったことも示します。


この記事は約17分で読み終わります。

AI導入の費用比較は、初期費用とツールの月額料金だけで終わることが多くあります。しかし、AIを使った業務の仕組みを自社で作るか外注するかを問わず、見積書に載らない「社内の確認・差し戻しの時間」が必ず乗ります。確認基準を言葉にしておくことは、内製・外注どちらの手戻りも減らす要因の一つですが、それだけで結論は決まりません。どちらが安いかは、初期・継続にかかる社内外の総費用で判断します。

「内製なら人件費だけで済む」「外注ならプロに任せて早い」——どちらも半分だけ正しく、見積書に出てこない話を見落としています。ベンダーの見積書には、通常、自社の社員が確認・差し戻しに使う時間は含まれていません。

この記事で比較するのは、AIを使った業務の仕組みそのものを、自社で作るか外注するかです。構築時の「受入確認」(検収)と、稼働後にAIの出力を確認する「出力確認」は別の作業です。受入確認はベンダーとの往復になりますが、出力確認は、運用を自社で引き継ぐ設計であれば自社の担当者が行うため、外注しても毎回検収差し戻しになるわけではありません。

金額の幅は出しません。一般的な相場は別記事に譲ります。代わりに、内製・外注のどちらを選んでも避けられない費目と、方式によって差が出る費目を分け、総費用を計算する式を示します。そのうえで、当社自身がAIを使った運用で確認・差し戻しをどう回し、何を記録し、何を記録していなかったかを、正直に出します。

1. 内製と外注は、総費用で比べる

よく見かける比較は、ツールの月額料金と担当者の年収、あるいは受託開発の見積金額を並べて終わります。それ自体は間違っていませんが、比較の軸が「初期費用」に偏りがちです。見落とされやすいのは、導入した後の継続費用、なかでも「AIの出力を誰が確認し、どこまで直させるか」という運用の設計です。

内製と外注の分かれ目では、判断の目安を「差し戻しの理由を言葉にできるか」に置きました。確認基準を言葉にしておくことは、内製・外注どちらの手戻りも減らす要因の一つです。ただし、それだけでは内製と外注のどちらが安いかは決まりません。開発の難度、担当者の技量、利用量、保守の負担によっても総費用は変わります。総費用は、初期にかかる費用と、継続してかかる費用の両方で見る必要があります。

総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」(令和7年12月・第4版)は、令和6年度の「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」の結果として、AI導入の課題に「人材がいない又は不足している」を挙げた回答が838件で最多、「コストが高額で予算獲得が難しい」が674件で2番目に多いと紹介しています(同書19ページの数表より当社が確認)。同書は別の箇所で、運用開始後も一定期間ごとに費用対効果等の観点からサービスを見直すことも勧めています。自治体向けの調査ですが、コストが導入時だけでなく運用しながら向き合い続ける対象だという点は、民間企業にも参考になると当社は考えます(出典は末尾)。

相場を検索すると、初期費用と運用費用を規模別に並べた記事は多く出てきます。それらは「いくらかかるか」には答えてくれますが、「自社でやると本当に安いのか」には答えてくれません。相場表は他社の値付けであり、自社の確認・差し戻しの体制までは映していないためです。この記事が扱うのは、相場表の外側にあるその部分です。

2. AI導入費用の相場は別記事で

内製・外注それぞれのおおよその価格帯は、AI顧問・AIコンサル・受託開発は何が違うのかに相場表としてまとめています。金額の幅を先に知りたい方はそちらを、費目の分け方と総費用の計算方法を知りたい方はこのまま読み進めてください。

3. 費用を4つの費目×2案で分ける:初期/継続 × 内製案/外注案

「構築にいくらかかるか」と「運用にいくらかかるか」を混ぜて数えると、内製と外注の比較が成立しません。まず、時間軸(初期/継続)で「初期の外部支出」「初期の社内工数」「継続の外部支出」「継続の社内工数」の4つの費目に分け、それぞれを内製案・外注案の2案で並べます。ここで「検収」(納品物を確認し、受け取ってよいと判断する作業)という言葉も使います。

内製案 外注案
初期の外部支出 ・ツールのライセンス費・契約手数料(無ければ「対象外」と書く)
・外部研修・講座費(利用する場合のみ)
・設計・実装・テストの開発発注額
・データ整備・移行の委託費(自社で行うなら「対象外」と書く)
・既存システムとの接続作業の委託費
初期の社内工数 ・業務の棚卸し・要件整理
・設計・実装・テストの工数
・データ整備・移行の作業
・既存システムとの接続作業
・担当者の学習コスト
・要件定義への同席
・ベンダー選定・比較検討
・受入確認(検収)基準の設計
継続の外部支出(月あたり) ・ツールの月額利用料 ・保守・運用の契約費用
・稼働後の障害対応(保守契約に含まれない場合のみ。含まれる場合は「対象外」と書く)
・仕様変更時の追加発注額
継続の社内工数(月あたり) ・AIの出力を確認・差し戻す時間
・基準が古くなったときの見直し工数
・保守・障害対応(自社担当者の時間)
・AIの出力を確認・差し戻す時間(受入確認ではなく稼働後の出力確認)
・仕様変更を発注する際の社内側の確認工数

この分け方の中で「見積書に載る」のは、外部に払う金額(初期の発注額、継続の保守費用)だけです。社内の工数は、内製でも外注でも、どちらの列にも存在します。よくある誤解は「外注は初期費用が高いが、その後は社内の手間がかからない」という思い込みです。実際には、外注した成果物を確認する時間は、方式を問わず発生します。

注意点が2つあります。 1つは、外注案の委託料にツール利用料が含まれている場合、内製案側の「ツールの月額利用料」と二重に数えないことです。委託料に含まれる費目は、内製案側では「対象外」と書きます。もう1つは、案件によって不要な項目があることです。データ整備・移行を外注しないなら外注案の該当行に「対象外」と書き、既存システムとの接続が無ければその行にも「対象外」と書いて、無理に数字を作らないようにします。

4. どちらを選んでもかかる費目と、方式で差が出る費目

この4つの費目をさらに分解すると、内製・外注のどちらを選んでも同じようにかかる費目と、選び方によって差が出る費目に分かれます。工程を分けて考える発想はSNS運用は内製か外注かでも使っている、体制設計の基本です。

どちらを選んでもかかる費目

  • AIツールの利用料(外注でも、外注先が使うツールの費用は結局こちらの発注額に含まれます。二重計上を避けるため、委託料に含まれる場合は内製案側に「対象外」と書きます)
  • AIの出力を確認する時間(稼働後の運用を自社で引き継ぐ設計であれば、内製でも外注でも、この確認は自社の担当者が行います)
  • 差し戻しが発生したときの、修正内容を伝える時間

方式によって差が出る費目

  • 内製は、確認する担当者を採用・育成するコストが乗ります。外注は、その代わりに継続的な保守発注コストが乗ります
  • 内製は、確認の基準が担当者の頭の中にとどまりやすく、担当者が変わると引き継ぎコストが発生します。外注は、後述するベンダーロックインに注意が必要です
  • 稼働後の運用まで外注する設計の場合、出力確認の往復が検収のやり直しという形を取りやすくなります。構築だけを外注し運用を自社で引き継ぐ設計なら、往復は自社の中で完結します

確認基準を「誰が見ても同じ判断になる」形にしておくことは、内製・外注どちらでも手戻りを減らす要因の一つです。基準が言葉になっていなければ、内製でも担当者の勘に頼った確認が続き、稼働後の運用まで外注していれば「イメージと違う」という抽象的な差し戻しが往復を増やします。ただし、これだけで内製と外注のどちらが安いかは決まりません。総費用がどちらで少なくなるかは、次の章の式で計算します。

稼働後の運用まで外注する設計の場合、1回目の納品で基準を満たさなかった箇所を指摘し、修正版を受け取って再確認する往復になります。基準が発注前に言葉になっていれば、往復は「足りない点」の指摘で済みますが、基準を「見れば分かる」まま発注すると、往復のたびに新しい基準が後出しで追加されているように見え、ベンダー側にも余計な工数がかかります。

ベンダーロックイン(特定の外注先やモデル・クラウドに依存し、契約や仕様を変えるコストが高くなる状態)は、内製でも外注でも起こり得ます。国のガイドライン(デジタル社会推進標準ガイドライン DS-920、2025年5月27日決定)は、ベンダーロックインによる不要なコストの増加を費用リスクに挙げていますが、内製・外注の発生率を比較したものではありません。内製でも、特定のモデルやクラウドに強く依存した構成なら同じ制約が起こります。確認する観点は、データの持ち出しやすさ、ソースコードの利用権、モデル・クラウドを変更する際の容易さ、実際に移行する場合の費用の4点です。仕様変更のたびに発生する通常の追加発注とは、別の問題として分けて確認してください。

5. 総費用を計算する

時間と金額は、そのままでは比較できません。時間単価と、比較する期間をそろえる必要があります。総費用は、次の式で計算します。

12か月の総費用=初期の外部支出+初期の社内時間×時間単価+12×(月額の外部支出+月間の社内時間×時間単価)

初期の社内時間と、継続の月間社内時間は、それぞれ時間単価をかけて金額に換算します。この換算額と外部への支出は、合算する前に別の行で表示してください。混ぜて1つの数字にすると、どちらが増えたときに結論が変わるのか見えなくなります。

以下は、説明のための仮の数字を使った計算例です。当社の料金でも、一般的な相場でもありません。 時間単価も給与・採用育成コストを時給換算した仮の値で、当社の実際の時給ではありません。内製案の保守・障害対応の時間と、確認担当者の採用・育成費はこの例に含めていないので、自社で計算する際は必要に応じて加えてください。継続の社内工数を外注案は月8時間、内製案は月20時間としているのは、外注案では保守契約に一次確認を含み、内製案は出力確認のすべてを自社で担うという前提の差によります。

費目 内製案(仮の数字) 外注案(仮の数字)
初期の外部支出 30万円 200万円
初期の社内工数の換算額(時間単価4,000円) 80時間×4,000円=32万円 20時間×4,000円=8万円
継続の外部支出(月額) 5万円 15万円
継続の社内工数の換算額(月間・時間単価4,000円) 20時間×4,000円=8万円 8時間×4,000円=3.2万円
12か月の総費用 30+32+12×(5+8)=218万円 200+8+12×(15+3.2)=426.4万円

この仮の数字のままなら、内製案のほうが12か月の総費用は少なくなります。ただし、この結論は継続の社内工数(月間20時間)に依存しています。他の数字を仮に固定したまま、内製案の月間確認時間だけを増やしていくと、月63時間を超えたところで内製案の総費用が外注案(426.4万円)を上回り、結論が入れ替わります。逆に、他の数字を固定したまま初期の設計・実装・テストの時間を増やしていくと、約600時間(1人で約4か月分)を超えたところで、外注案のほうが安くなります。つまり、「内製の方が安い」という結論は、初期の構築時間と継続の確認時間の両方が一定の範囲にとどまることが前提です。自社の数字に置き換えて計算すれば、自社にとっての損益分岐点が分かります。

6. 当社にも、確認の時間の記録はありませんでした

正直に書きます。当社は「確認と差し戻しにかかった時間」を理由別に測った記録を持っていません。この記事のために数字を作ることはしません。

当社が自社で営業SFAを作ったAI内製化の4か月では、「当社はまだ削減工数の実測を取れていません」と書いています。これは、社内ローンチ前のため、AI導入による削減効果(どれだけ時間が減ったか)をまだ測れていないという意味です(ローンチ後に測って続報として公開する予定です)。今回この記事のために確認したところ、当社には別の記録も残っていませんでした。AIを使った確認作業について、差し戻しの理由別の時間は記録していなかったのです。削減効果が未測定であることと、確認作業の時間の記録が無いことは別の問題ですが、当社の場合はどちらも記録がありませんでした。数える仕組みを別に用意しない限り、記録は残りません。

時間を測る前に、何をどう数えるかを先に決めるのが現実的です。当社は次の手順から始めるのがよいと考えています。

  1. 対象業務を1つ決めます。複数の業務を同時に測ると、どの業務の何が原因かが分からなくなります
  2. 2週間を試しの期間とし、件数・確認にかかった時間・修正にかかった時間・差し戻しの有無を記録します
  3. 差し戻しの理由の分類は後から行います。2週間分の記録がたまってから、実際に出てきた理由を見て分類を作るほうが、先に分類を決めるより実態に合います

対象業務が月次の集計作業など、2週間では代表的な件数が集まらない業務の場合は、少なくとも1サイクル分(月次業務なら1か月分)に試しの期間を延長してください。

項目 いつ記録するか
件数 試しの期間中、確認のたびに記録
確認にかかった時間 同上
修正にかかった時間 同上
差し戻しの有無 同上
差し戻しの理由の分類 記録がたまってから、後から分類する

当社はこの記録をまだ始めていません。次に対象業務を1つ選び、上の手順で試すところからです。試すときの手順は、①差し戻しの有無と指摘内容を、そのまま残す ②記録がたまってから理由を分類し、同じ理由が続いていれば確認の基準を書き足す ③時間の記録は、件数の記録と同時に始める、の3点です。内製したからといって、社内工数の数字が自然に手に入るわけではありません。

7. 内製が安くなる条件・高くつく条件

前章までの整理を踏まえると、体制の作り方によって、第5章の式に入る社内工数が大きく変わります。最終的には総費用で判断します。

内製が安くなりやすい条件

  • 確認・差し戻しの基準を、担当者の頭の中ではなく文書やチェックリストの形にしている
  • 確認する担当者が固定されていて、共通の基準で判断できる
  • AIの出力について、必ず確認する項目と、担当者の判断で直してよい範囲がはっきりしている(数値は必ず裏取りする、文体は好みで直してよい、など)

内製が高くつきやすい条件

  • 基準が「見ればわかる」という前提のまま、言葉にしていない
  • 確認する担当者がそのつど変わり、都度ゼロから判断し直している
  • 差し戻しのたびに、変更箇所と影響範囲を絞らず、関連する範囲を毎回見返す設計になっている

外注の場合も同じ構造が当てはまります。検収の基準を発注時点で言葉にしておけば、差し戻しの往復は減ります。基準を「納品を見てから決める」にしてしまうと、往復のたびに仕様変更に近い扱いになり、追加費用が発生しやすくなります。

この構造は、内製と外注のどちらが「向いている」かという話とは少し違います。基準が言葉になっていない会社は、内製でも外注でも高くつきます。逆に確認基準を先に言葉にしておくと、前章の式に入れる社内工数が小さくなりやすく、総費用を抑えやすくなります。最終的にどちらが安いかは、前章の式で自社の場合を計算して確かめてください。

8. 比較シート:自社の数字を書き込む

金額を公開する記事ではありませんが、自社で見積もりを取る前に、次の4つの費目×2案に数字を書き込んでみてください。空欄のまま社内で共有するだけでも、内製・外注どちらの提案を受け取っても、抜けている費目に気づけます。不要な項目は「対象外」と書いてください。

内製案 外注案
初期の外部支出 ・ツールライセンス費:__円
・外部研修費:__円(無ければ「対象外」と書く)
・設計・実装・テストの発注額:__円
・データ整備・移行の委託費:__円(対象外なら「対象外」と書く)
・既存システム接続の委託費:__円
初期の社内工数 ・棚卸し/要件整理:__人日
・設計・実装・テスト:__人日
・データ整備・移行:__人日
・既存システム接続:__人日
・学習コスト:__人日
・要件定義の同席:__人日
・比較検討:__人日
・検収基準の設計:__人日
継続の外部支出(月あたり) ・ツール利用料:__円 ・保守・運用契約:__円
・障害対応:__円(保守契約に含まれない場合のみ。含まれる場合は「対象外」と書く)
・仕様変更時の追加発注:__円
継続の社内工数(月あたり) ・確認・差し戻しの時間:__時間
・基準の見直し:__時間
・保守・障害対応:__時間
・確認・差し戻しの時間:__時間
・仕様変更の社内確認:__時間

書き込んだら、第5章の式に入れて12か月の総費用を計算してください。継続の社内工数の行が空欄のままなら、そこが見積書に載らない費目です。次章はそこを数える手順です。

9. 見積を取る前に、自社で数えておくこと

ベンダーに見積もりを依頼する前に、社内で数えられることが4つあります。

  1. いま、AIやツールの出力を確認するのに、月に何時間かけているか。 記録が無ければ、第6章の手順で計測してみてください。総時間が分かれば、第5章の式に入れて外注案の総費用と比較できます
  2. 確認の基準は、誰が見ても同じ判断になる形で書いてあるか。 口頭でしか説明していないなら、まずそれを箇条書きにするところから始めます
  3. 差し戻しのとき、直った部分だけ見返しているか、関連範囲まで見返しているか。 変更箇所と影響範囲を特定し、再確認の範囲を決めます。全文の再生成や重要な数値変更があれば、全体確認が必要になることもあります
  4. 差し戻しの理由を、3つ程度の分類に分けられるか。 「事実が間違っている」「文体が合わない」「指示した仕様と違う」のように分類できると、どの分類がベンダーの改善で減らせて、どの分類が発注前の基準づくりでしか減らせないかが見えてきます

この4点は、内製・外注どちらの提案でも、発注前に社内だけで済ませられる作業です。自社の現状を先に数えておくと、提案書のどの部分が自社の弱点を埋めるのかを金額を見る前に判断できます。

何から手をつけるかで迷う場合は、AI導入の着手順で、最初の1本をどう絞るかを扱っています。費用の見積もりは、着手する業務が決まってから精度が上がります。

まとめ

  • 内製と外注は、初期費用だけでなく、初期・継続にかかる社内外の総費用で比べます(計算式は第5章)
  • ベンダーの見積書には、通常、自社の確認・差し戻しの時間は含まれません。これは方式を問わずかかる費目です
  • 確認・差し戻しの基準を言葉にしておくことは、内製・外注どちらの手戻りも減らす要因の一つです。ただし決め手は総費用です(第5章の式で計算します)
  • 当社にも、確認・差し戻しにかかった時間の記録はありませんでした。時間を測る前に、まず対象業務を1つ決め、2週間の試行で件数・確認時間・修正時間・差し戻しの有無を記録するところから始めます
  • 見積もりを取る前に、自社の確認時間・基準の有無・差し戻し時の見返し方・差し戻しの理由の分類の4点を数えておくと、提案の抜けている部分に気づけます

よくある質問(FAQ)

Q1. 内製と外注、結局どちらが安いですか? 確認・差し戻しの基準を言葉にできているかは、内製・外注どちらの手戻りも減らす要因の一つですが、それだけでは決まりません。どちらが安いかは初期・継続の社内外の総費用で判断します(計算式は第5章)。基準が整っていないと内製は担当者の勘に頼った確認が続き、稼働後の運用まで外注していれば出力確認の往復が増えるため、どちらの総費用も膨らみやすくなります。

Q2. 確認・差し戻しの時間は、どうやって数えればいいですか? 対象業務を1つ決め、2週間を試しの期間として、件数・確認時間・修正時間・差し戻しの有無を記録してください(第6章)。理由の分類は後から行います。記録がたまってから実際の理由を見て分類を作るほうが、実態に合います。月次業務など2週間で代表的な件数が集まらない場合は、1サイクル分(月次なら1か月分)に延長してください。

Q3. 「基準を言葉にする」とは、具体的に何をすればいいですか? 確認する人が変わっても同じ判断になるよう、チェックする項目を箇条書きにすることです。「数値は出典を確認する」「固有名詞は変えない」のように、具体的な事実・条件のリストにするほど、差し戻しの往復が減ります。

Q4. 内製化を支援してくれる外部の顧問やコンサルを使う場合、この比較はどう変わりますか? 顧問やコンサルを使う内製化支援は、契約形態に応じて初期の外部支出(スポットのアドバイス費用)または継続の外部支出(月額の顧問料)のいずれかに乗ります。確認・差し戻しは自社で行うことが多く、継続の社内工数も中心になります。契約内容に応じて、どの行に費用が乗るかを書き込んでください。

Q5. 検収の基準は、いつ決めるべきですか? 発注する前です。納品を見てから基準を決めると、差し戻しのたびに仕様変更に近い扱いになり、追加費用が発生しやすくなります。

Q6. ベンダーロックインは、内製と外注のどちらで起きやすいですか? 内製でも外注でも起こり得ます。特定の外注先の仕組みや、特定のモデル・クラウドに依存すると、データの持ち出し、ソースコードの利用権、モデルを変更する際の容易さ、実際に移行するとした場合の費用のいずれかで制約が生じます。仕様変更のたびに発生する通常の追加発注とは別の問題として確認してください。

Q7. 相場の金額はどこで見られますか? AI顧問・AIコンサル・受託開発は何が違うのかで、AI顧問・戦略策定・PoC・受託開発それぞれの一般的な価格帯を整理しています。

参考文献

  • 総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」(令和7年12月・第4版)19ページ「自治体におけるAIの導入に向けた課題」(令和6年度「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」の結果) https://www.soumu.go.jp/main_content/000820109.pdf
  • デジタル社会推進会議幹事会「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(デジタル社会推進標準ガイドライン DS-920、2025年5月27日決定) https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/80419aea/20250527_resources_standard_guidelines_guideline_01.pdf

AIをどこから内製し、どこから外注に切り出すか。自社の業務を棚卸しした上で、費用の見立てから一緒に整理したい方は、AI活用顧問サービスからご相談ください。

Latest Posts