観光協会や自治体の担当者が「Googleビジネスプロフィール(GBP)の登録支援を事業者にお願いしたい」と考えたとき、最初にやることは他の自治体・観光協会の仕様書を探すことです。
探すと、出てきます。GBPの登録・運用支援を公募で委託している自治体・観光協会は複数あり、仕様書も実施要領も公開されています。真似できる材料は揃っています。
問題は、どこを真似るかです。事業の内容や登録件数の目標は、仕様書のどこにでも書いてあります。書かれていないのは、もっと地味なところです。GBPという「事業者のアカウント」を人に預ける事業だからこそ効いてくる、権限の出入りの条件です。
この記事では、実際に公開されている4件の仕様書・実施要領を読み比べます。優劣をつける意図はありません。同じ「GBP支援事業」でも、権限の扱いの書き方に非対称があることを示すのが目的です。
結論:権限は「預かる条件」ばかりで「返す条件」がない
先に結論です。団体が特定されないよう、本記事では比較した4件の公開資料をA〜Cの記号で表記します(A団体は1年目・2年目の2本を比較対象にしているため、資料としては4件)。
- 登録件数や閲覧数などの指標への言及は、確認できた4件(A団体2年度分・B団体・C団体)すべてにありました。 ただし、具体的な数値目標として書かれているかどうかは資料によって異なります。事業者を集める数字を明記していた資料もあれば、指標の列挙にとどまる資料、発注者側が別途設定した指標への取組内容を書かせる方式の資料もありました。
- 割れていたのは、権限を「預かる」条件でした。 確認できた仕様書のうち、A団体(1年目)とC団体は、事業者からGBPの閲覧権限または管理権限を発注者側に付与してもらう条件を明記していました。A団体(2年目)にはその記述がなく、B団体は実施要領の範囲ではこの記述が見当たりませんでした(別紙の仕様書本体は未確認)。
- そして、権限を「返す」条件は、確認できた仕様書3件(A団体2年度分・C団体)のいずれにも書かれていませんでした。 契約が終わったとき、預かった閲覧権限・管理権限をどう外すか、いつまでに外すか。この記述を持つ仕様書は、今回確認できた範囲では見つかりませんでした。B団体は仕様書本体を確認できていないため、この点の比較対象からは外しています。
3つ目が、この記事でいちばん伝えたいことです。今回確認できた仕様書には、権限を受け取るときの条件を書いたものがあっても、返すときの条件を書いたものはありませんでした。 そしてGoogle自身は、この「返し方」について明確なルールを持っています。仕様書に書かれていなくても、受託者はそのルールに従う義務があります。
読んだもの
比較したのは、いずれも各団体が公開している仕様書・実施要領です。団体が特定されないよう、本記事ではA〜Cの記号で表記します。
- A団体(市域の観光関連団体):Googleビジネスプロフィールを活用した観光施設等の集客支援に関する業務委託仕様書。ある年度(1年目)と、その翌年度(2年目)の2本を比較対象にしました
- B団体(県域の観光団体):観光施設等の情報発信支援事業(GBP運用支援業務)に関する委託プロポーザル実施要領
- C団体(県域の観光団体):GBP活用支援業務に関する業務委託仕様書
事業の作り方はそれぞれ違います。A団体は域内の観光関連事業者を面で支援する事業、B団体は情報発信支援としてのプロポーザル形式、C団体は観光プラットフォーム参画事業者を軸にした分析・伴走型です。同じ土俵ではありませんが、同じ「GBPを事業者の代わりに触る」事業だからこそ、権限の扱いの書き方の差が際立ちます。
なお、A団体は同じ発注者が1年目と2年目で仕様書を出し直しており、1年でどこが変わったかを見られる貴重な組み合わせでした。先に、その差から見ていきます。
A団体の1年差:権限の条項が消えて、数値目標が増えた
A団体は、ある年度とその翌年度、ほぼ同じ枠組みの事業を続けて公募しています。2つの仕様書を並べると、変化がはっきり見えます。
1年目の仕様書には、次の2つが書かれていました(団体を特定できないよう、原文ではなく要旨で示します。以下同じです)。
- 事業者のGBPアカウントを使うときは、事前に協議して合意を得ること。あわせて、発注者にも「閲覧権限」を付けてもらうこと
- 事業が終わったあとも事業者が自分でGBPを運用し続けられるよう、マニュアルや動画を作って配ること
「事業者との合意」「発注者への閲覧権限の付与」「事業終了後も事業者が自分で運用を続けられること」の3つが、この1つの仕様書に揃っていました。 4件の中で、この3点セットを持っていたのはこの1本だけです。
ところが、翌年度の仕様書からは、この3点セットがそのまま消えています。かわりに、次のような項目が並ぶようになりました。
- 参加する事業者数の目標(うち新規にオーナー登録する施設の割合の目安つき)
- 閲覧数・ルート検索数・ウェブサイトのクリック数などを把握するツールの導入
- 参加事業者への事後アンケート(売上への効果や満足度など)
目標が、数字としてはっきりしました。測りやすく、審査もしやすい書き方です。 一方で、「事業者との合意」「発注者側の権限」「事業者が自分で運用を続けられる状態」への言及は、2年目の仕様書からは読み取れませんでした。
[解釈] これを「後退した」と断定はできません。単年度の仕様書は業務内容ごとに書き手が変わることもあり、前年の条項を意図的に削ったとは限らないからです。ただ、結果として測りやすい数字が残り、権限まわりの言葉が抜け落ちたのは事実です。同じ発注者の1年違いでこれが起きるなら、他の自治体・観光協会でも同じことは起こり得ます。
C団体の書き方:権限は明記するが、返し方は書かれていない
A団体の2本は「権限の条項がある版」と「ない版」でしたが、C団体の仕様書は、もっと踏み込んで権限を書いています。要旨は「事業者から発注者に管理権限を付けてもらい、発注者がGBPの管理画面を見られるように支援する」というもので、GBPの登録件数と管理権限の付与件数の合計に目標値が置かれていました。
支援対象者は2種類に分けられていました。既存のプラットフォームに参加している事業者と、それ以外で発注者に「閲覧権限」を付けている事業者です。「閲覧権限」と「管理権限」を分けて書いたうえで、管理権限を事業者から自団体へ渡してもらう件数そのものをKPIにしているのは、今回確認した中でここだけでした。
診断・個別支援・分析資料などの件数にも、それぞれ目標値が置かれていました。C団体の仕様書は、今回確認した中では、権限まわりも数値目標も具体的に書かれていた資料です。
ただし、契約期間は単年度で区切られています。事業者から預かった管理権限を、この契約終了時にどう扱うかについては、仕様書のどこにも書かれていませんでした。 権限を受け取る条件は書くが、返す条件は書かない。A団体と同じ形の空欄が、ここにもありました。
B団体の書き方:KPIは提案側に委ねる方式
B団体の資料は、今回取得できたのが「委託プロポーザル実施要領」(募集条件をまとめた文書)で、業務内容そのものを記した「業務委託仕様書」本体は別紙扱いのため確認できていません。その前提で読める範囲を書きます。この記事の比較では、B団体は仕様書本体が未確認のため、権限を返す条件についての比較対象からは外しています。
委託期間は複数年度にわたります。KPIの扱いは、他の資料と違う形でした。提案書には、発注者が設定したKPIを達成するための取り組みと、効果を測るのに有効な指標があればその内容と測り方を書かせる形です。
数値目標そのものは実施要領に書かれておらず、「発注者側が別途設定したKPIに、提案者がどう取り組むか」を書かせる方式です。A団体・C団体のように仕様書側に具体的な数字が並ぶ形とは異なります。権限の扱い・事業終了後の記述は、少なくとも実施要領の範囲には見当たりませんでした。別紙の仕様書本体に記述がある可能性は残ります(未確認)。
Googleのポリシーが求める「7営業日」
ここまで見てきたとおり、仕様書側には「権限を返す条件」がほとんど書かれていません。ですが、これは発注者が決めていい空白ではありません。Google自身が、代行業者と顧客の関係についてポリシーを持っているからです。
GBPの登録・運用を事業者に代わって行う受託者は、Googleから見ると「サードパーティ(代理店・パートナー)」です。Googleのサードパーティ向けポリシーには、こう書かれています。
ビジネス オーナーは、パートナーに共同オーナーや管理者の権限を与えるか、またはアクセス権限を付与しないかを判断する権利を有します。
すべての最終顧客は、常に自身のビジネス プロフィールのオーナー権限または共同オーナー権限を保持している必要があります。
権限をどこまで渡すかは、事業者本人が決めることだと明記されています。 そして、契約が終わったときの扱いについても、次のように定めています。
サードパーティは、最終顧客からの通知を受け取ってから7営業日以内に
対応し、事業者が「そのアカウントの排他的な管理を取り戻す」ことができるようにしなければならない、という内容です。「7営業日以内」という具体的な期限が、Googleのポリシー側にはすでに存在します。
違反した場合のペナルティも定められています。
度重なる、または重大な違反が認められた場合は、ビジネス プロフィールを管理できないようにする措置をとり
アカウントやビジネスプロフィールそのものが強制停止されることもある、とされています。
[事実] 数え始めるのは、契約の終了日ではなく、事業者から通知を受け取った日です。そして、仕様書に書いても書かなくても、受託者はGoogleのポリシー上この義務を負います。 書かなければ免除されるわけではありません。ただ、仕様書に書いていない状態だと、「誰が」「いつまでに」「どうやって」外すかの実務の主語が、発注者・受託者のどちらにあるのか曖昧なまま契約が終わります。仕様書に書く意味は、義務を新しく作ることではなく、すでにある義務の実行主体と期限を、契約の中に明文化することにあります。委託期間の終わりに権限をどう片付けるかは、この7営業日の規定とは別に、契約で決めておく必要があります。
ポリシーの細かい条件(共同オーナーと管理者の権限差、代理店プログラムの認定要件など)は、「MEO対策を外注する前に確かめること|見積もりと契約書で見る点」で扱っています。本記事は自治体・観光協会が仕様書に書く条項に絞ります。
4件を並べる
こう並べると、KPIの欄はどの資料にも何らかの記載がある一方、「アクセス権限の解除」の欄は、確認できた範囲ではすべて空欄なのが分かります。「終了後の運用支援」は、A団体の1年目にだけ記述がありました。
KPIの置き方:件数の次に何を測るか
今回確認した4件のうち3件は、登録件数・閲覧数・管理権限の付与件数といった「事業者を集める数字」を主要なKPIにしていました。これ自体は妥当です。事業の立ち上がりを測るには、まず件数が要ります。
ただし、件数だけでは、契約期間が終わった後に事業の成果が続いているかどうかを測ることができません。 登録件数が伸びても、その後も更新され続けているか、実際の集客に寄与したかは件数だけでは分かりません。A団体の1年目の仕様書が「事業者が自ら運用を続けられる状態」を目的に含めていたのは、件数の先にあるものを見ていたからです。2年目にはKPIが数値として精緻化された一方、この目的の言葉は本文上では確認できませんでした。記載が変わった理由や、実際の運用がどうなっているかは分かりません。
KPIをどう段階的に置くか、地方創生関係の交付金と観光庁のDMO向け枠組みでは指標の作法が違う、という論点は、地域マーケのKPI設計詳解|「測りにくいが意味のある指標」を制度に通す手順で扱っています。GBP支援事業のKPIを登録件数の先まで伸ばしたい場合は、そちらもあわせてご確認ください。
著作権と写真の扱い:制作物は使えるが、肖像権は受託者持ち
A団体の2本の仕様書には、権限まわりとは別に、著作権についての条項がありました。1年目・2年目で同じ内容です。要旨は「発注者は、事業者から提供された画像を含む制作物を、ほかの広報物にも使える」「制作に使う人物などの著作権・肖像権の処理は受託者が行う」の2点です。
事業者から提供された画像を含め、発注者が成果物を他の広報物にも使用できることが明記されています。 ただし、これは仕様書の条項だけで完結する話ではありません。提供された画像などに第三者(被写体や撮影者)が権利を持つ場合は、その利用を含めた許諾を別途確認する必要があります。写真に写っている人物の肖像権処理は受託者の責任とされており、「発注者が広報物に使用できる」ことと「人物の権利処理は受託者が確認する」ことが、セットで書かれている形です。
B団体の実施要領にも、成果物の著作権は原則として発注者に帰属し、受託者は二次利用に支障がないことを保証する、という趣旨の定型条項がありました。写真の使い回しまで踏み込んだ書き方は、A団体ほど具体的ではありません。
C団体の仕様書は分析・伴走型の事業で、支援先に配る制作物を伴わないため、この種の条項自体がありませんでした。ただし、分析・助言が中心の業務でも、報告書や図表、提供データの利用条件を定めておく必要はあります。事業の型(コンテンツを作る事業か、分析・助言が中心の事業か)によって、著作権条項の書き方が変わることも、今回の読み比べで分かった点です。
仕様書に足しておきたい1行
ここまでの内容を、発注側が仕様書を書くときの作業に落とすと、こうなります。
1|権限を預かる条件だけでなく、返す条件も書く。 「事業者との合意のうえ、発注者に権限を付けてもらう」までは、今回確認した4件のうち2件が書けていました。そこに「委託期間の終了時、または事業者から終了の通知を受けたときに、誰が、いつまでに、どの権限を外すか(通知からは7営業日以内)」を足すと、Googleのポリシー上すでにある義務が、仕様書の中でも実行主体と期限を持ちます。事業者本人のオーナー権限は残すことも、あわせて書いておきます。
2|口コミへの返信を委託範囲に含めるかどうかを決め、含める場合は承認の手順も書く。 今回確認した4件の資料には、口コミへの返信を誰が担当するかという記述は見当たりませんでした。日々の運用の中でも、登録作業と違って認識のずれが生まれやすいのが、公開後の口コミ対応です。委託の範囲に含める場合は、事業者から明示的な承認を得る手順と、その記録方法も仕様書に定めておくと、契約後の認識違いを防げます。
3|事業終了後に事業者側が自走できる状態を、成果物として明記する。 A団体の1年目が持っていた「マニュアル・動画を作成して配布する」という一文は、2年目で消えました。運用マニュアルの作成自体は2年目にも残っていますが、「何のために作るか」という目的の言葉があるかないかで、受託者の作り込みの深さは変わります。
受託する側から見て
当社はGoogleビジネスプロフィールを含むMEO(マップ検索対策)の支援を事業として行っています。立場上、有利になる書き方はしません。そのうえで、実務として率直に書きます。
権限の返却条件が書かれていない契約は、受託者としても座りが悪いものです。 契約が終わった後も、事業者のアカウントに受託者の権限が残ったままになっているのは、預かった側としても気持ちのいい状態ではありません。権限整理は、仕様書に書いてあるかどうかに関わらず契約終了時に必要な作業だと考えています。仕様書に対象・担当者・期限が明記されていれば、発注者・受託者・事業者の三者で対応を確認しながら進められます。
KPIが登録件数だけだと、受託者は登録件数を積む方向に動きます。 これは受託者が近視眼的だからではなく、契約で評価される指標に向かって動くのが受託の性質だからです。事業者が自走できる状態まで求めるなら、それを成果物か効果測定の項目として明記する必要があります。
口コミ対応を委託範囲に含めるかどうかは、早めに決めてもらえると助かります。 登録支援のスコープなのか、公開後の運用まで含むスコープなのかで、必要な体制も見積もりも変わります。
自治体・観光協会でのGBP支援事業の仕様設計や、登録後の運用体制についてのご相談は、MEO(Googleビジネスプロフィール最適化)のご案内ページからお気軽にお問い合わせください。
まとめ
自治体・観光協会がGBP支援事業を委託するとき、仕様書のKPI欄はどれも何らかの記載がありました。登録件数、閲覧数、管理権限の付与件数。数字にしやすいところは、多くの資料で数字になっています。
- A団体の1年差:1年目にあった「事業者との合意」「発注者への権限付与」「事業終了後の自走」の3点セットが、2年目には確認できなくなり、かわりに数値目標が精緻化された
- C団体:管理権限の付与を明記し、KPIも件数ベースでもっとも具体的。ただし契約終了時の権限解除は書かれていない
- B団体:KPIは「発注者が設定した指標」に提案者が応える方式。実施要領の範囲では権限・事業終了後の記述なし(別紙仕様書は未確認のため、権限を返す条件の比較対象からは除外)
- Googleのポリシー:オーナー権限は常に事業者本人が持ち、事業者から通知を受け取ってから7営業日以内に、事業者が単独でプロフィールを管理できる状態に戻すことを、代理店・パートナーに求めている
そして、今回確認できた仕様書3件(A団体2年度分・C団体)のいずれにも、「権限を返す条件」だけは書かれていませんでした。 Googleのポリシー上、この義務自体は仕様書の記載に関係なく発生します。仕様書に書く意味は、義務を作ることではなく、実行主体と期限を契約の中で明文化することです。
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よくある質問(FAQ)
Q1: 他の自治体・観光協会の仕様書を、そのまま流用してよいですか? 業務内容の記述は事業の作り方によって変わるので、そのままは使えません。一方で、著作権の帰属や再委託の可否といった条項は、団体をまたいで似た書き方に落ち着いています。参考にしやすいのは後者です。権限まわりの条項は今回読んだ4件でも書き方が割れていたので、自分の事業の権限設計(誰が何を持つか)を先に決めてから写してください。
Q2: 事業者からGBPの権限を預かる必要が、そもそもありますか? 支援の形によります。今回確認した4件のうち、権限の付与を明記していたのはA団体(1年目)とC団体でした。事業者に登録の手順だけを教えて、日々の更新は事業者自身が行う設計であれば、発注者・受託者が権限を持たない形も成立します。注意したいのは、GBPで付けられる権限は「オーナー」と「管理者」の2種類だけで、閲覧だけに絞った権限はないことです。管理者でも、口コミへの返信や投稿、営業時間などの編集ができます。仕様書に「閲覧権限」と書いても、実際に付くのは編集もできる管理者権限になります。分析やレポートだけが目的なら、権限は受け取らず、事業者から数字を共有してもらう形も検討できます。
Q3: 権限を預かるとき、仕様書に何を書けばよいですか? 今回の読み比べからいえるのは、「事業者との事前合意」「受け取る権限の種類と目的(GBPの権限はオーナーか管理者の2種類で、閲覧専用はありません)」「契約終了時に、誰がいつまでに権限を外すか」の3点です。3点目を書いた仕様書は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。Googleのポリシーは、事業者から通知を受け取ってから7営業日以内という基準を持っているので、期限はそこに揃えるのが実務的です。
Q4: 口コミへの返信も委託に含めるべきですか? 今回確認した4件には、口コミ返信の担当を定めた記述はありませんでした。含めるかどうかは事業の性質次第ですが、決めずに始めると、公開後の対応で認識違いが起きやすい部分です。委託範囲に含めるなら、事業者から明示的な承認を得る手順と、その記録方法(受託者が下書きして事業者が確認する、など)まで書いておくと運用が安定します。
Q5: KPIは登録件数だけで十分ですか? 立ち上げ期の事業であれば、登録件数を主要KPIに置くこと自体は妥当です。ただし、それだけだと契約期間が終わった後、事業の成果が続いているかどうかを測ることができません。A団体の1年目の仕様書のように「事業者が自ら運用を続けられる状態」を目的や成果物に含めておくと、数字の先にある効果を測る根拠になります。
Q6: 著作権はどちらに帰属させるべきですか? 今回確認した範囲では、成果物の著作権を発注者(委託者)に帰属させる書き方をしている資料がありました。A団体はさらに踏み込み、「事業者から提供された画像を他の広報物にも使用できる」と明記しています。ただし、提供素材に第三者の権利が及ぶ場合は、別途許諾の確認が必要です。人物が写り込む場合の肖像権処理は、受託者の責任とする例が見られました。
Q7: 単年度の契約で、事業者の自走まで求めるのは無理がありますか? 単年度でも、成果物に「運用マニュアル」や「動画」を明記すれば、自走のための素材は残せます。A団体の1年目がこの形でした。ただし、2年目の仕様書ではこの目的の言葉が確認できなくなった例もあるとおり、書かなければ自然に薄れていきます。複数年契約にする場合の法令上の考え方は、デジタルサイネージ運用の記事で扱った地方自治法上の整理をご確認ください。
自治体・観光協会のGBP支援事業の仕様設計、権限の預け方・返し方の整理についてのご相談は、MEO(Googleビジネスプロフィール最適化)のご案内ページからお気軽にどうぞ。受託する側から見て「この書き方だと何が決まらないか」も含めてお話しします。
参考文献
- Google「サードパーティによるビジネス プロフィールの管理に関するポリシー」(取得日:2026年9月28日)
- 市域の観光関連団体(A団体)が公開した、Googleビジネスプロフィールを活用した観光関連事業者向け支援業務の業務委託仕様書(1年目分・2年目分の2件)
- 県域の観光団体(B団体)が公開した、Googleビジネスプロフィール運用支援業務の委託プロポーザル実施要領
- 県域の観光団体(C団体)が公開した、Googleビジネスプロフィール活用支援業務の公募型プロポーザル公告資料一式(仕様書・審査基準表を含む)
※本記事の比較対象とした各団体の公開資料は、記事内では固有名称を伏せて扱っています。リンク先の特定・追跡はご遠慮ください。